ED(勃起不全)のお話をする前に、まずは勃起について簡単に説明いたします。
勃起のメカニズム
まず勃起していない時には、陰茎では海綿体の血管や筋肉が収縮しており、多量の血液が入り込めない状態になっています。そこに性的な刺激を受けると、脳から神経を通して信号が送られ、陰茎へと伝わります。陰茎では筋肉が弛緩し動脈が開いて、陰茎海綿体に血液が流れ込み、膨張して硬くなっていきます。これがいわゆる勃起状態になります。そして勃起を抑制する酵素の働きによって、一度起こった勃起は段々と落ち着いていきます。これが健康な人の勃起のメカニズムです。
EDとは?
EDとは[Erectile Dysfunction]の略で、性機能障害のうちの勃起不全を指します。勃起不全とはいっても、たまに勃起をして行為に至れる方(中等度ED)から勃起しない方(完全ED)までその程度はさまざまになります。定義として「満足に性交を行えない状態」もしくは「通常性交の機会のうち3/4以上性交が行えない状態」と言われているため、勃起はするけれど途中で中折れしてしまう方などもEDに含まれます。けれど、究極的には「自身とパートナーが満足な関係を築けているか」という部分が一番重要なのかも知れないですね。
EDの原因
一言で勃起不全といっても、それに至る原因は人によって様々です。
原因は大別すると以下の4つに分けられます。
・機能性(心因性)ED
・器質性ED
・薬剤性ED
・混合性ED
機能性(心因性)EDについて
機能性(心因性)EDとは、精神的な原因によるEDを指します。
肉体的には問題ないが、ストレス・不安・プレッシャーなどの問題からEDを引き起こします。
例えば、仕事や人間関係で日常的にストレスを抱えている、性交経験が浅い方などの行為がうまく行えるかへの不安、家庭にて子供ができる事を期待されている、などが該当します。
また、うつ病などの精神疾患によるEDなどもこちらに該当します。
器質性EDについて
器質性EDとは、肉体的な原因によるEDを指します。
加齢による血管の衰えや、病気による神経伝達への障害などからEDを引き起こします。
中高年の方に多く見られ、動脈硬化等が進行すると血管が広がりにくくなり、陰茎に十分な血液を送る事が出来なくなります。加齢以外には糖尿病などの生活習慣病による血管障害でも同じような症状が現れます。
また、同病による神経障害では、性的刺激による信号の伝達がうまくいかず、勃起に至らないなどの症状が現れます。
薬剤性EDについて
薬剤性EDとは、薬剤などの副作用が原因となるEDを指します。
例えば、血圧を下げる降圧薬もEDの副作用が起こす可能性があります。高血圧自体も動脈硬化などを引き起こしEDの原因となりえますが、血管が硬化し血流が少なくなってる場合、降圧薬で血圧を下げる作用が働くことで、さらに陰茎への血液流入が減り勃起しないなどの症状が現れます。
また抗うつ薬や向精神薬など神経に働く薬も、EDの副作用を引き起こす可能性があることで知られています。
混合性EDについて
混合性EDとは、機能性(心因性)ED・器質性ED・薬剤性EDなど混在した原因が考えられるEDを指します。
「加齢」や「ストレス」、「降圧薬を飲んでいる」など日々の生活の中にはいろいろなEDの要因があり、多くの方はピンポイントでの原因特定がし難く、混合性EDに該当します。
EDを改善するには?
まずは医師などに相談して最適な治療方法を確認しましょう。現在多くの場合は投薬治療が行われおり、ED治療薬はバイアグラ、レビトラ、シアリスなどが有名でよく使用されています。ED治療薬は血管を広げ、陰茎への血液の流入を助け、血液が十分に流れ込むことで正常な勃起に至ります。ほとんどの場合は、この投薬により改善がみられるようになります。
また、食事や運動による血行不良の解消や、マカや亜鉛の摂取による性欲増進など継続的な行動によって、体質改善を目指すこともお勧めです。当然ですが、原疾患の治療は大前提となります。ただし、生活習慣病などを原因とするEDは改善に時間がかかるため、対処療法としてED治療薬を使用する方は多いのではないでしょうか?
ED治療薬は一時的な対処であり、根本的な治療法ではないですが、原因の特定と合わせて症状の改善を目指しつつ、ED治療薬も併用することをお勧めします。EDの状態が続くとストレスや不安など精神的な原因が増加し、悪化することも考えられますので、性交の機会がある場合にはED治療薬の服用をしながら改善を目指しましょう。